保険会社に低すぎる額を提示されたときの対応がわかる「示談金の基礎知識」

代表弁護士 佐々木 一夫 (ささき かずお)

事故発生後の保険会社との話し合いでは、ほぼすべての場合、本来受け取るべき示談金よりも低い示談金が提示されでいます。
実際に受け取るべき額とのあいだで数十万円から数百万円の乖離が見られるケースも、決して少なくありません。
しかし、示談金の内訳や慰謝料算定の根拠について、それが司法の基準に沿ったものかどうかは、一般の人では判断することはできません。保険会社から示談金が提示された場合には、下記の基礎知識を参照してみて、今後の対応方針を決めてください。

そもそも示談金はどう計算されているのか


交通事故の示談金は「積極損害」と「消極損害」の2項目で計算され、それぞれ下記の損害項目を含みます。提示された金額が不当に低いのは、本来算入されるべき賠償項目が含まれていないか、あるいは慰謝料などの数値化しづらい項目の計算が誤っているのが原因です。

【交通事故の示談金に含まれる損害項目】

  • 積極損害
    …修理費・治療費・付添看護費・入院雑費・通院交通費・ギプス等の器具費・介護費・家屋修繕費用・弁護士報酬など
  • 消極損害
    …休業補償・入通院慰謝料・後遺障害慰謝料・後遺障害時の逸失利益など

【一例】弁護士が計算すると示談金はこう変わる


同じ事故例でも、保険会社と弁護士では示談金の算定結果が大きく異なります。

【例①】38歳の専業主婦が子供を迎えに行く途中で事故に遭い、骨折と打撲で入院2ヵ月・通院4ヶ月を行ったものの、むち打ち症と思われる症状(頭重感・腰痛・しびれ)を感じている場合

①保険会社の提示内容

専業主婦であるため休業損害は生じないとし、積極損害のほかに入通院慰謝料75.6万円を提示

②弁護士の算定内容

積極損害と休業損害100万円・入通院慰謝料160万円のほかに、事故状況と残存症状から14級認定が得られると考え、さらに後遺障害慰謝料110万円・逸失利益90万円を上乗せ

※休業損害・逸失利益の計算ベース:賃金センサス(平成30年度)女性労働者の全年齢返金賃金

保険会社は専業主婦でも休業損害が生じることをまったく考慮しておらず、入通院慰謝料も弁護士の算定結果に比べて著しく低いことが分かります。また、もしも主婦の休業損害を保険会社が最初から提示してきたとしても、その額は低額にとどまる場合がほとんどです。さらに、治療後に残った症状についても、弁護士が等級認定される可能性を拾い上げるまで、保険会社では一切賠償項目に含めません。
以上のように、示談金が低すぎる理由は弁護士が見ると明らかです。

交通事故慰謝料の算定基準


賠償項目のなかで特に金額乖離が大きいのは、被害者の受傷による精神的苦痛に対して支払われるべき「慰謝料」です。
本来は判例に基づく目安(=裁判所基準)が用いられるべきところ、保険会社の多くは強制加入保険の給付上限額までの金額(=自賠責基準)しか提示しません。任意保険基準と呼ばれる社内の独自基準も、判例に相当する金額とは決して言えません。

【例②】骨折と打撲を負い、受傷後入院1ヵ月・通院2ヵ月(実治療日数39日)を要した場合

裁判所基準 入通院慰謝料98万円
任意保険基準※ 入通院慰謝料50.4万円
自賠責基準 入通院慰謝料32.76万円

【例③】生死が危ぶまれる事故で受傷後入院3ヵ月・通院9ヵ月(実治療日数136日)を要し、高次脳機能障害(後遺障害等級5級2号)を得た場合

裁判所基準 入通院慰謝料293.8万円(通常の目安に+30%)+後遺障害慰謝料1,400万円
任意保険基準※ 入通院慰謝料108.4万円+後遺障害慰謝料700万円
自賠責基準 入通院慰謝料114.24万円+後遺障害慰謝料618万円

※金額は概算
※平成11年に廃止された「旧任意保険基準」に基づいて算定

保険会社の提示金額に納得できない時の対応方法


保険会社はあくまでも加害者側の交渉人であり、被害者にとって本当に必要な金額を軽視しがちです。
提示金額に納得できないときは、交渉に応じることを差し控え、弁護士に対応を任せましょう。また、入通院慰謝料や後遺障害の状況がわかる医療記録を積み上げるため、治療を自己判断で打ち切らないことも大切です。ほとんどの場合で、保険会社の提示金額は本来の金額よりも低額となっていますので、弁護士に相談することが重要です。

【保険会社の提示金額に納得できないときの対応】

  • 交渉に応じない
  • 示談書にサインしない
  • 医師の指示通りに通院・治療を続ける
  • 弁護士に提示金額のチェックを依頼し、対応を任せる

当事務所が行う示談交渉の特徴


弁護士法人アクロピースのモットーは「本来得られる金額の100%獲得」です。損害項目を漏らさず、過去の事例に沿って示談金の最大額を算定した上で、安易に譲歩しない粘り強い交渉をお任せいただけます。本来認められるべき金額を獲得するために、あらゆる手段を使って交渉します。
交渉の際に適宜必要となる「事故状況を示す資料」「治療実績を示す医療カルテ」等の客観的資料も、当事務所が損害回復の経過に寄り添うことで具備できます。

訴訟発展が予測されるケースの対応方針


保険会社側も法的サポートを得ており、ケースにより訴訟に発展する可能性があります。
裁判上で争うことになった場合も、立証資料を揃えた上で和解・判決に向けた最大限の努力を払います。ケースによっては、裁判を起こした場合には、100万円から場合により1000万円以上、賠償金が大きく増える場合があります。そのようなケースでは、当事務所は裁判をちゅうちょせず、最大限の賠償金獲得を目指します。

裁判費用についてもご安心ください。回収可能な金額の見込み額をお伝えした上で、ご加入中の保険に付随する「弁護士費用特約」などでカバー可能か診断いたします。

妥当な示談金実現のために早期相談を


保険会社から示談金が提示された場合には、できる限り早く示談交渉を弁護士にバトンタッチすべきです。
交通事故専門の弁護士から「慰謝料が裁判所基準にそぐわない」「休業補償や後遺障害に対する賠償項目が考慮されていない」等の具体的指摘を行うことで、本来得られるべき金額の獲得が実現します。

保険会社との対応中に気兼ねなくご相談いただけるよう、当事務所では初回無料相談(弁護士費用特約をご利用の方は対象外)を実施しています。まずはご状況をお聞かせください。

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